【完】そこを右に曲がると、~少女館、そこは闇持つ少女の集う場所~
私は、学校への道のりを歩いているうちに、どうやってチョコを渡そうか考えていた。
やっぱり、放課後がいいかな?
とりあえず、健君は放課後に渡すとして・・・。
有希ちゃんはどうしよう?
健君と一緒に渡すのは、二人を会わせちゃうことになるからしゃくだし・・・。
私がブツブツ言いながら歩いていると、前を歩いている有希ちゃんを見つけた。
・・・あ!有希ちゃんがあそこにいるじゃない!!
今から渡しておいて、有希ちゃんが食べるのは自由・・・ってことにしようかな?
そうすれば、有希ちゃんが勝手に食べたことになるから、私の罪は軽くなるかもしれないし!
そう考えた私は、少し走って有希ちゃんに声をかけた。
「有希ちゃ~ん!!待って~!」
私が声をかけると有希ちゃんは、可愛く首を傾げて
「・・・あなた、誰?」
と聞いてきた。
でも、私はそれには関わらず
「誰?って・・・。もう!有希ちゃんったら分かってるくせに!!健君の彼女だよ!」
と言った。
私がそういうと、有希ちゃんは一瞬驚いた後、直ぐに顔を強張らせた。
「そんな・・・。あなたが、健君の彼女なの?」
「そうだよ!ねぇねぇ、有希ちゃん!健君繋がりの友達としてさぁ~、チョコ作ってきたの!・・・食べて?」
私は、最後の「食べて?」と言う部分を満面の笑みで言い、顔を強張らせている有希ちゃんを安心させた。
それでも、中々受け取ろうとしない有希ちゃんを私は急かすように言った。
「ねぇ、早く受け取ってよ!私、これから健君のところに行かなきゃいけないの!大丈夫だよ!普通のチョコだから!!」
私が急かして言うと、有希ちゃんは手が震えていたけれど、ちゃんとチョコを受け取ってくれた。
「あ、ありがとう・・・」
「よかった!受け取ってくれた!!じゃあ、私は健君のところに行くね!」
私はそういった後、またスキップして健君が居るであろう教室へと向かった。