【完】そこを右に曲がると、~少女館、そこは闇持つ少女の集う場所~
「いけないの?同情しちゃ」
私は、何処にいるかも分からない臨音さんに向かって淡々と答えた。
「いいえ。いけないとは言っていません。ただ、お優しいですね。としか言っていませんよ?」
・・・私は、臨音さんは冷たい人だと思う。
確かに臨音さんは、とっても綺麗で、日本人形みたいだけど・・・。
でも、ここにいる少女達に対してはとても冷たいと思う。
いくら、"売る者"の立場としてはそんなの気にしていられないけど・・・。
ちょっとくらい同情したっていいと思う。
「・・・結香様は、私のことを人間だと思っているようですが、本当の私は・・・」
「え?」
臨音さんが、何か私に言おうとしたとき、突然別のガラスケースから
『許さない!あの女!!』
と言う、恐ろしい叫び声が聞こえた。
私が驚いて声の聞こえるほうを見ると、目を真っ赤にした少女がガラスケースを揺さぶって、此方側に何か訴えてきた。
「何なの?あれ?」
「フゥ・・・またですか。」
私が臨音さんに尋ねると、ため息交じりに呟いた。
「またって・・・どういうこと?」
「いつも、この時間になると動き出すんですよ。あの、"ヤンデレ少女"は・・・」
「ヤンデレ・・・少女?」
「そうです。ヤンデレです。見ますか?あの少女の訳を・・・」
・・・見ますか?
って聞かれても、見なきゃ此処から出られないんだから、見るしかないでしょ。
「見るわ」
私はそういって、"ヤンデレ少女"のガラスケースに近寄り、少し恐怖で震えながらも赤いボタンを押した。