【完】そこを右に曲がると、~少女館、そこは闇持つ少女の集う場所~
「まずは、この館の名前から。
ここは、【少女館】です」
「知っています」
「あら、そうですか?
では、この館の名前の意味は知っていますか?」
う・・・それは・・・知らないかも。
私はただ単に、この館の名前が気になって入ってきただけだし。
分からなくて黙っていた私に臨音さんはくすっ、と少し笑って教えてくれた。
「やっぱりお分かりになっていなかったんですね。
簡単に言うと、この館は訳アリの少女を売っている館です」
にっこりと微笑みながら言っていることは、とても恐ろしくて、身の毛がよだった。
そんな私にはお構いなしで、臨音さんは続ける。
「例えば、不慮の事故で死んでしまった少女・・・
あるものが好きすぎて、離れられなくなってしまった少女・・・
このような、とある訳を抱えた少女を私たちは“管理人”として売っているのですよ」
どうして、そんなに恐ろしいことは臨音さんは笑って言えるのだろうか?
もしかして、もうこの状況に慣れてしまったのか?
「あらあら、そんなに顔を強張らせなくても大丈夫ですよ。
何も絶対買え、なんて言っていないんですから・・・」
私が顔を強張らせているのは、そのことが理由じゃない。
私は、こんなに恐ろしいことをまるで当たり前、と言う風に言っている臨音さんに少し恐怖心が芽生えただけのこと。