【完】そこを右に曲がると、~少女館、そこは闇持つ少女の集う場所~
「何も言わないってことは、やっぱり見てないんだね。あのガラスケースの中には、誰もいなかったんだよ?・・・ねぇ、この言葉の意味、分かる?」
リンネは、目を細めて私を見た。
私は、リンネのその目と言葉に体が凍りついた。
「・・・いなかったってことは、あそこに入るのは・・・私?」
私は、恐る恐る尋ねた。
するとリンネは、優しく微笑んで言った。
「うん!そうだよ!!」
って・・・。
「な・・・によ、それ」
「本当はね、こんなことにならないはずだったの。本当は、他のお客さんが売り物になるはずだったんだよ?」
リンネは恐ろしいことを平気で言い続けた。
「でもね。誰も買ってくれないの。此処にいる少女達を。だから、売り物には出来なかったんだよ・・・」
「それってつまり、此処にいる少女達を買ったのは唯一、私だけ・・・?」
「正解!結香ちゃん、結構物分りいいね!説明する手間が省けるよ!!」
リンネは、とても嬉しそうに喜んでいた。
・・・でも、私は喜べない。
「ねぇ、結香ちゃんは知りたい?この少女達を買った御代・・・」
「そりゃ、知りたいわよ」
「じゃあ、教えてあげる。・・・あのね、この少女達の御代はね・・・"お客さん自身"だよ・・・」
「・・・は?」
私は驚きのあまり情けない声を出してしまった。