【完】そこを右に曲がると、~少女館、そこは闇持つ少女の集う場所~
「香奈~!香奈~!
そろそろ帰るわよ~!!」
公園の時計が午後4時を指した頃。
"香奈"と言う少女の名前を呼ぶ女の声が公園に響いていた。
「え~まだ居たい!!」
少女は、自転車に乗りながら駄々をこねた。
「ダメよ!もう4時だもの」
女は、少女をなだめようとしていた。
「嫌だ!まだ自転車に乗りたい!!」
少女はこういって聞かなかった。
そんな少女を諦めたのか、女は、
「また明日連れてきてあげるから!」
といって、連れて帰ろうとした。
女のその言葉を聞くと、少女は
「うん!約束だよ!」
と満面の笑みで答えた。
少女は、この田舎町ではちょっとした有名人だった。
自転車が大好きで、何があっても手放そうとしない。
"自転車少女"と、町の人から呼ばれていた。