【完】そこを右に曲がると、~少女館、そこは闇持つ少女の集う場所~



女は顔を強張らせるしかなかった。


そんな女に、自転車少女は病んだ目で笑いながら尋ねた。


「ねぇ・・・私の自転車、知らない?
とっても、とっても大事な自転車なの・・・」


女は涙目になりながらも、必死に答えた。


「し、知らない!!私、あなたの自転車なんて知らない!!
第一、あなた自転車持ってるじゃない!!!」


すると自転車少女は残念そうな顔をしながら答えた。


「知らないのか・・・
持ってるって言っても、この自転車は私のじゃないの」


「へ?・・・じゃあ、それは誰のもの?」


女が不思議がって尋ねると少女はにっこりと笑いながら言った。


「これはね・・・"人"だよ。私の本当の自転車が見つかるまでね、代わりになってもらってるの!
・・・でも、もうコレ、使えなくなっちゃった!!
だから・・・お姉さんがなってくれる?」


「え?」


「だ~か~ら~、お姉さんがなって?
私の自転車に!」


「嫌だ!嫌だよ!!いやぁぁぁぁ!!!!!」








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