【完】そこを右に曲がると、~少女館、そこは闇持つ少女の集う場所~
----ガチャ!
「だ、旦那様!!大変です!!!」
私と同じ使用人がノックもせずに、慌てた様子で入ってきた。
旦那様は、いきなりの出来事に驚いたようで、むせていた。
「ゴホッ、ガホッ!い、一体どうしたんだ!そんな慌てた様子で!何かあったのか!?」
「そうですよ!旦那様は今お食事中なんですよ!?」
私たちがそう言った後、別の使用人が言った。
「そんなに呑気にお食事している場合ではありません!!大変なんですよ!!!」
大変、大変、とだけしか言わない使用人に旦那様は痺れを切らした様子で答えた。
「大変、大変って!さっきから何なのだ!?とっとと用件を言え!!」
すると使用人は顔色を変えて震えた声で答えた。
ヤバイ・・・。バレちゃったかも・・・。
私の不安をよそに。
「そ、それが、突然姿を消したんです・・・。
旦那様の、息子様が・・・」
その刹那、旦那様は一気に表情を変え、青ざめた顔をした。
「息子が・・・消えた?」
「そうです!さっき、お食事をお運びしようと部屋に行ったんですが、返事がなくて・・・。それで、中に入らせてもらったら誰も居なくて・・・」
使用人は、今にも泣き出しそうな顔で答えた。
「何だと!?すぐ行く!!」
「は、ハイ!!」
そう言うと、旦那様と使用人は部屋を出ていた。
私を置いて。
「・・・あ~あ。バレちゃった・・・」
私は一人呟いた後、走って旦那様の元へと向かった。
・・・そのときの私の顔に笑みがあったことなど、誰も気づいてないだろう。