【完】そこを右に曲がると、~少女館、そこは闇持つ少女の集う場所~
「ねぇ、奥谷さん?」
私がトイレから出てきたとき、まるで待ってました、とでも言うかのように尾畑君が私に話しかけた。
「・・・何ですか?」
由愛の好きな人ということで、私は少し警戒しながらも尋ねた。
「そんなに怖い顔しないでよ!」
尾畑君は私の質問に答えないで、話してきた。
「・・・・・・」
でも私は、そっぽを向いて尾畑君を無視した。
「ねぇ、今日のお昼一緒に食べない?」
「!・・・は?」
私は突然の提案に驚きながらも、あえて冷めた声で言った。
「そんなに冷めた声で言わないでよ!俺さ、結構奥谷さんのこと気に入ってんだよね~。だから、今日だけ一緒に食べない?今日だけだからさ!」
「どうして私が?由愛と食べればいいじゃない」
私は、誰があんたなんかと食べるか!、というような顔をしながら答え、さり気無く由愛と食べることを提案した。
「由愛って・・・。いつも奥谷さんと一緒にいる、あの派手な子?」
「そうだけど・・・」
尾畑君の問いかけに、私は変わらず素っ気無く答えた。
「う~ん・・・。俺さ、やっぱり奥谷さんと食べたいんだよね~」
尾畑君は、少し悩んでから言った。
「・・・どうして?私なんか、由愛と違って地味なのに」
「そんなことないと思うよ?」
私の最後の言葉は、小さく呟いただけなのに尾畑君には聞こえてたみたいで、私の発言を否定された。
尾畑君の否定の言葉に、少しドキッっとしながらも私は提案した。
「じゃあ、由愛達も一緒にどう?」
「だ~か~ら~!何度も言ってるでしょ!俺は、奥谷さんと食べたいって!・・・それに、今日一緒に食べてくれたら、もう近づかないようにするよ」
尾畑君の言葉を聞いた私は、それならいいかな、なんて思ってしまい返事をした。
「・・・じゃあいいよ。今日だけね」
「やった!じゃあ、今日のお昼に屋上で!」
尾畑君は軽くガッツポーズをしながら、私に言った。
・・・思えば、私が了承の返事をしなかったら、あんなことにはならなかったのに・・・