【完】そこを右に曲がると、~少女館、そこは闇持つ少女の集う場所~
「え?何を言ってるの?」
しばらく脳が働きを一時停止して、やっと出てきた言葉がこれだった。
「何を言ってるの?って・・・。そのままの意味じゃん」
私は健君が半分笑いながら答えたことに怒りを覚え、強く言った。
「違う!!そういう意味じゃなくて!!何で別れるの!?ねぇ、何で!!?」
私が大声で怒鳴ったのがうるさかったのか、健君は耳を塞ぎながら答えた。
「何でって・・・。決まってるだろ。重いんだよ、お前。毎日毎日しつこく私のこと好き?、なんて言ってきたり・・・」
「それのどこが重いのよ!!」
そうよ。それのどこが悪いのよ。
健君が私と話しているときに、私の話を聞かなかったりするから、不安になって聞いただけなのに・・・。
「だから、しつこいんだよ!お前は!!クリスマスに手作りのマフラーとか・・・」
「・・・ひどい。そんなこと思ってたなんて・・・」
「それに俺、他に好きな子出来たし・・・」
「え?好きな子?」
私は、最後に健君が言った言葉を聞き逃さなかった。
他に好きな子が出来た?
誰よ!その女!!許せない!!!
「そ。好きな子。三組の大山有希ちゃん」
「ふ~ん。そうなんだ・・・。だったら、別れてくれる代わりに条件があるの」
「な、何だよ!それ!!」
「・・・別れるの、明日にして?それで、私のバレンタインのチョコを受け取ってから別れて」
私の出した条件に、健君は少し迷ってた。
「分かった。じゃあ明日な」
だけどすぐに健君は答えた。
ふ~ん。健君は三組の大山有希ちゃんが好きなんだぁ~。
フフフ。覚悟しててね?健君、有希ちゃん・・・。