Mary's Boy Child ―お父さんとお母さんはねこになった―


コホンとひとつ咳を零す仙太郎は、テーブルに置いていたティッシュを一枚取り出して洟をかむ。


「電話ないかなぁ」


クシャクシャにティッシュを丸める様子からして、期待は抱いていないものの、仙太郎は今日という日をとても楽しみにしていたらしい。

ワイド番組の特集で映し出されているクリスマスツリー、イルミネーション、そしてケーキにサンタクロース。
一つひとつに羨望を抱きながら見つめている。


「クリスマスプレゼント、今年はもらえるかなぁ。サンタさん、うちに来てくれると思う? シロ、クロ」


子供らしい不安が仙太郎の胸を占めたらしい。
ねこのおれ達にプレゼントの心配を口ずさむ。


大丈夫、それはちゃんと用意しているから。

お前が欲しがっていた高値の昆虫・動物・植物・恐竜等々が詰まった全図鑑を買って、ベッド下の収納スペースに隠してあるから。


仙太郎はあまりゲームには興味がないんだよな(というか機械系が駄目なようだ。ゲームはあるものの、すぐに放置してしまう)。

どちらかといえば、生き物に興味があるらしく何度かおれ達に生き物を飼っても良いかと聞いた事がある。


仙太郎には世話なんてできない。

その理由でおれも頼子も許可は下ろさなかった。


家に動物が増えるというのも難点だし、なにより子供と動物、二重の世話の負担が掛かる。

おれ達自身、あんまり動物は好きじゃないしな。

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