Mary's Boy Child ―お父さんとお母さんはねこになった―


それでも仙太郎は、こっそりとダンゴムシやカナヘビを捕まえて飼おうとしていたことがあった。



無論、そういった生き物は頼子の命令により外へと逃がす羽目になったのだけれど、仙太郎は生き物に執着があるみたいでそれ関連の絵ばっかり描くことも多々。


カブトムシならいいでしょ? 駄目なら、カブトムシのオモチャが欲しい、とか強請ったこともあるもんだから、ホトホトおれ達は困っていたけど、今回は仙太郎のおかげで助かっている。


なんとも複雑な気分だ。


仙太郎の動物に対する気持ちで、助けられているなんて…、皮肉かもしれない。


「サンタさんはね。いい子にプレゼントをくれるんだよ。知ってる?」


両手でおれと頼子の頭を撫でる仙太郎は、「ぼく。いい子にしていたよね?」と同意を求めてきた。


みゃあ、鳴く頼子に笑ってしまう。


だって頼子の奴、『それなりにね』なんて言ったもんだから。


まさか評価の鳴き声とは知る由もない仙太郎は、何処となく嬉しそうに頬を崩している。


「君達にもプレゼントがくるといいね」


ううん、きっとくるよ、と子供らしい励ましを送ってくれた息子はふと思案して疑問を口にする。


「お父さんとお母さんもプレゼント、もらえるよね…、だってすっごくお仕事がんばってくれているんだし」


だけどオトナはもらえないって言ってたような。

うーんっと声を上げる仙太郎の優しさに、またひとつ笑ってしまった。


こうしておれ達を気遣ってくれるなんて、本当に微笑ましい奴。


現代の日本では珍しいほど、優しい心を持った子供だ。


こんなことを思っては過大評価するおれは、わりと親馬鹿なのかもしれない。

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