Mary's Boy Child ―お父さんとお母さんはねこになった―


可愛らしい一面を見せてくれる仙太郎に癒されていると、

「やっぱり電話ないよなぁ」

数分前に口にしていた台詞を吐き出す。


「どっちかでもいいから連絡、くれたらいいのに」


ケホッと咳を零す仙太郎は、お腹減ったなぁと空腹を訴え始める。


そういえば息子はトーストを齧っただけで他に何も口にしていない。


何か食べようと思えば食べられるのだけれど、おれ達と食事をすると心に決めているのか間食する素振りさえ見せなかった。

健気な一面におれと頼子は顔を見合わせる。


掛ける言葉、いや鳴き声さえ見つからなかった。




七時半を回った。

仙太郎の落胆に暮れた顔は濃くなる一方で、仕舞いにはアニメが流されているテレビを消してしまう始末。


「きっと遅くなるんだろうなぁ」


お仕事って楽しいのかなぁ、素朴な疑問を口にしてソファーに寝転がる仙太郎。


「子供のお仕事は勉強だけど、大人はなんのお仕事をしているんだろう?」


不思議そうに吐露して、おれと頼子の体を撫でる。

「ケーキ」買って来てくれるかなぁ、咳をしながら不安を口にする仙太郎は眉を下げっぱなしだった。


クリスマス・イブだというのに、こんな顔をさせるなんて申し訳なく思う。


いつも留守番をしている時は不安を顔に貼り付かせているのだろうか?


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