Mary's Boy Child ―お父さんとお母さんはねこになった―
* * *
ぽっかりと浮かぶ真ん丸お月さま。
すっかり日の落ちた寒空の下。
おれと頼子は塀の縁を歩いて仙太郎と肩を並べていた。
こういう場合、体を並べていたという表現が正しいのだろうか?
とにもかくにも得体の知れない押し売り悪徳小人(サンタクロース?)の後を、健気についていく我が息子に嘆きたくなった。
知らない奴にはついて行くな。
家にも上がらせるな。
チェーンを掛けてから外を窺うようにしろ、ドアスコープは使用しろ。
あれほど口酸っぱく注意をしていたというのに、教育をすべて霧散された気分。
それだけ仙太郎の気持ちも浮ついていたのかもしれない。
クリスマス・イブということだけあって、仙太郎自身も鼻歌を歌ってクリスマスソングを歌っている。
「ウィン・ウィッシュ・ア・クリスマス!」
口ずさんでいる英語の意味、絶対分かってないだろう。
そして節々歌詞が間違っている。
ツッコみたいのに、言語がない。
ああ不便。