promise&ring
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──クリスマスは二人で過ごそうね
指切りをしたのは、一ヶ月前。
……それなのに。
そう約束してたのに、今日も彼はバイトみたい。
部屋に飾られたクリスマスツリーが、虚しくそこに立ちすくんでいた。
「シュンのバカ」
ケータイの画面には、彼氏──瞬(シュン)のケータイ番号。
電話をかけてみても、出てくれる気配がない。
綺麗な発音の女性の声で、電波が届かないところにいるか…なんて説明が始まる。
部屋に独りぼっちのあたしは、いてもたってもいられなくて
「はぁー‥」
何度目か、もはや数えられないため息。
わかってるんだ、ちゃんと。
クリスマスに急に人手が足りなくなって、バイト先のお手伝いをしていることくらい。
シュンが優しい性格で、頼まれたら断れないってことくらい。
高校生から付き合い始めて、もうあたしたちは大学生になって。
ねぇ、シュン。
クリスマスくらい、彼女を一番に優先してくれたっていいよね?
この上なく寂しくなって、上着を羽織って……
たった今、大好きな彼氏のバイト先へ向かいました。
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