大好きだよ、先生
お金を
簡単に差し出すということは
わたしが出ていくことに
賛成していることになる。
…悔しかった。
少しでも
引き止めてくれる、と
期待した、わたしが
間違っていたんだ。
「桜」
「気安く呼ばないでっ!!」
お母さんの隣にいた
お父さんが
名前を呼んだ。
「持っていきなさい」
「絶対、嫌!!」
「……すまなかった」
「……」
「お前を1人にして、本当にすまなかった」
「今さらっ…!!」
「接し方がわからなくなったんだ…」
「そんなの言い訳じゃんっ」
わたしは
靴を脱いで
部屋に駆け上がった。