樹海の瞳【短編ホラー】
「アンタ、居たのかい」
「霧も晴れましたので、外で気分転換ですよ」
「木暮はどうしたんだ」
「木暮さんですか」
「荷物はあったが」
「志津さんと出掛けましたよ」
「はぁ?アンタが言ってた樹海に住む女か」
「ええ、そうです」
「まぁ、ええ。霧も晴れたし、ワシは帰らせてもらう」
「そうですか」
「道はどっちへ行ったらいいんだ」
「その木の間を、真っ直ぐですよ」
「分かった。真っ直ぐだな」
「真っ直ぐです。寄り道してはいけませんよ」
「フン。世話になったな」
「いえ、お気になさらずに」
西郷は屋敷をそそくさと後にした。何とも言えないが、とにかく離れたかった。
西郷は真っ直ぐに歩いた。回りの景色は全く当てにならない。今にも迷いそうで、恐ろしくて真っ直ぐしか歩けないのだ。
西郷は黛が何か隠してる、と思った。
秘密がある。
木暮の件でもおかしい。何で見ず知らずの女に付いて行くのだ。
しかし、西郷は余り詮索する気にはなれなかった。自分が家に帰ることが出来れば、それで良いのである。
西郷は真っ直ぐに歩いているつもりだ。しかし、不安で堪らない。随分歩いたようだが、まだ樹海をぬけないのであろうか。
体力的な事より、精神的にまいった頃、一軒の民家にたどり着いた。
西郷は、心底、救われる思いがした。
「霧も晴れましたので、外で気分転換ですよ」
「木暮はどうしたんだ」
「木暮さんですか」
「荷物はあったが」
「志津さんと出掛けましたよ」
「はぁ?アンタが言ってた樹海に住む女か」
「ええ、そうです」
「まぁ、ええ。霧も晴れたし、ワシは帰らせてもらう」
「そうですか」
「道はどっちへ行ったらいいんだ」
「その木の間を、真っ直ぐですよ」
「分かった。真っ直ぐだな」
「真っ直ぐです。寄り道してはいけませんよ」
「フン。世話になったな」
「いえ、お気になさらずに」
西郷は屋敷をそそくさと後にした。何とも言えないが、とにかく離れたかった。
西郷は真っ直ぐに歩いた。回りの景色は全く当てにならない。今にも迷いそうで、恐ろしくて真っ直ぐしか歩けないのだ。
西郷は黛が何か隠してる、と思った。
秘密がある。
木暮の件でもおかしい。何で見ず知らずの女に付いて行くのだ。
しかし、西郷は余り詮索する気にはなれなかった。自分が家に帰ることが出来れば、それで良いのである。
西郷は真っ直ぐに歩いているつもりだ。しかし、不安で堪らない。随分歩いたようだが、まだ樹海をぬけないのであろうか。
体力的な事より、精神的にまいった頃、一軒の民家にたどり着いた。
西郷は、心底、救われる思いがした。