樹海の瞳【短編ホラー】
第七章 走馬灯
「誰かいないか。開けてくれ」
木で出来た重そうな扉を、ドンドンと叩いた。
何も反応がない。
「おい。開けてくれ。誰もいないのか」
声に悲愴感が漂ってきた。扉を乱暴に叩く音だけが、あたりに響く。
西郷は民家の裏に回った。少し高い位置に、小窓がある。
西郷は荷物を地に置き、民家の壁をよじ登ろうとしたが、なかなか上手くいかない。
何とか狭い隙間に足場を確保し、小窓をズリ開けた。
西郷の体を通すには、小さ過ぎる小窓だ。
しかし、そこから見える山積みにされた、何かしらの食べ物には、手が届きそうだ。
西郷は手を伸ばした。頭と右腕だけが、民家の中へ突き刺さっていた。
西郷はそこで、はっと気付いた。
民家の一室から、じっと見つめる視線を感じた。
ニットの赤いワンピースを着た女が立っている。
窓枠に視界が遮られて顔はよく見えない。体はこちらを向いているのだが、ピクリとも動こうとしない。
木で出来た重そうな扉を、ドンドンと叩いた。
何も反応がない。
「おい。開けてくれ。誰もいないのか」
声に悲愴感が漂ってきた。扉を乱暴に叩く音だけが、あたりに響く。
西郷は民家の裏に回った。少し高い位置に、小窓がある。
西郷は荷物を地に置き、民家の壁をよじ登ろうとしたが、なかなか上手くいかない。
何とか狭い隙間に足場を確保し、小窓をズリ開けた。
西郷の体を通すには、小さ過ぎる小窓だ。
しかし、そこから見える山積みにされた、何かしらの食べ物には、手が届きそうだ。
西郷は手を伸ばした。頭と右腕だけが、民家の中へ突き刺さっていた。
西郷はそこで、はっと気付いた。
民家の一室から、じっと見つめる視線を感じた。
ニットの赤いワンピースを着た女が立っている。
窓枠に視界が遮られて顔はよく見えない。体はこちらを向いているのだが、ピクリとも動こうとしない。