それでも彼女は嘘をつく


誰だって思い出したくない過去はある



もちろん私にも



好きで好きでどうしようもなかった



離れたくなくて

そばにいたくて

嫌われたくなくて



言うことを聞くしかできなかった





…後悔している





あれからかなり年数がたった


19歳だった私


そこから数年彼にしがみついていた



彼と別れてから



心のきずは



治る時の方が痛いことを知った



だけどまたあの頃のように



心がズキズキ音を立てて


治ったはずの傷の痛みが


しまい込んだはずの記憶と共に



とりつくっただけの簡易の膜をやぶって



表面にあらわれてくる



……怖い
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