春、恋。夢桜。
「は?」


突然の戸崎の告白に、俺は絶句した。

思わず振り向いた先では、戸崎が静かに微笑んでるようにも見える。


「だから、花の精だったんだよ!」


戸崎は、さっきよりも大きめの声でそう言った。


「それって、……麗華のことか?」


俺は、少し戸惑いながらそう聞いた。


戸崎が言った女の子の特徴は麗華とは違う部分もある。

でも、髪型なんかはきっとすぐに変えられるだろうし……


「違う。俺が好きだったのは、スミレっていう子だった。本当にちっちゃくてさ、手のひらサイズなんだよ」


人差指と親指を使って、戸崎はスミレの大きさを表した。


それは本当に小さい。

長さにしたら5~6センチ程度か。


指を崩した戸崎は、また続きを話しだした。


「いろんなことを話したよ。人間とは1人としか深く関われない、って言われた時は、俺だけが特別!って感じがして嬉しかったしな。

紅姫ってまとめ役がいるって話も聞いたな。あとは、学校のことを聞かせたりもした」


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