春、恋。夢桜。
机に設置されたライトを付けて、足の上に視線を落とす。



それは、真っ白なスケッチブック。


俺が麗華のために、学校の前の本屋で買ったものだった。


何も描かれてないことは、もちろんよくわかってる。

でも、何故だか俺は、ページをめくる手を止められなかった。


最後までめくり続けて、背表紙を向けたスケッチブックを、引っ繰り返す。

そしてもう一度、白いページを最後まで見つめた。



そんな意味のない行為を何回か続けてから

俺はやっと、スケッチブックを机の上に置いた。
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