春、恋。夢桜。
ピンクのトートバッグに目を移した俺は、そっとそれを手に取った。


大きく膨れ上がったピンクが、俺にとって、このトートバッグがどれほど重い価値を持ってるかを表してるように見える。


俺は、その中身を順番に取り出した。


ノートが9冊。

スケッチブックが1冊。

色鉛筆のセット。

鉛筆。


その他にも、俺が麗華に渡した物がたくさん入っていた。



全てを出し終えて、机に並べたそれらを見る。


目の前に並ぶ物達は、麗華と過ごした時間を思い起こす引き金だ。


不思議な話し方。

無邪気な笑顔。

純粋な反応。

神秘的な経験。


走馬灯のように浮かび上がってくるそれらは、少しの間、俺の中を埋め尽くした。
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