春、恋。夢桜。

 
『何かを叶えたくば、実際に自らが動かねばならぬのじゃ』


『それが夢だ、願いだということを忘れるくらい猛烈に行動するしか、夢を叶える道などないのにのう……』



今なら、麗華がどんな気持ちであの言葉を言ってたのかが、わかる気がする。


麗華がどれだけ強い意志を持っていたのかが、わかる気がする。



これだけ何度も字の練習をし続けるのは、決して簡単なことじゃない。


字を書き続ければ、腕も疲れる。

指に胼胝[たこ]ができることだってある。


俺が小学校の宿題で字の練習してた時だって、辛くて途中で何度も休んだ記憶があるんだ。


だから、あんな短期間にこれだけの練習をすることに

どれだけの体力と精神力が必要だったのか、俺には想像ができない。


そしてそれにもかかわらず

辛そうな顔一つ見せなかった麗華の思い。


とてもじゃないけど、俺はそれを知ることなんてできない。
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