春、恋。夢桜。
 
『この辺りで一度下ろすのじゃ』


1番権力を持っていそうな年をとった男性が、そう言いました。

すると、その後ろに続いていた籠のようなものが動きを止めたのです。


『この部分に穴を掘ると良いでしょう。早急にですぞ。早急に』

『わかりました。お主等!急いで穴を掘るのじゃ!』


籠から降りてきたのは、巫女の衣裳に身を包んだ白髪の女性でした。


その女性の指示で、桜の足元に穴が掘り始められたのです。


それは本当に根気の必要な作業だったと思います。


ある程度の大きさの穴が掘られたところで、その作業が止まりました。


『では、ここに生贄を寝かせるのです』
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