春、恋。夢桜。

【二】

「響。お前、ちょっと来いよ。話がある」


次の日の朝。

教室に入ると、潤から声を掛けられた。


「ここじゃちょっと微妙だから……。屋上行くぞ」


潤の雰囲気が、何だかいつもと違うような気もする。

声だって、いつもより低い。


潤は俺の意見なんて、初めから聞くつもりがなかったらしい。

目で、急かすような合図をされた。


何となくではあるけど

呼び出された理由がわからなくもない気がする。


でもやっぱり、潤が何を考えてるかなんてわからない。


真面目かと思えば、ふざけたことばかりする。


ふざけてるのかと思えば、それが全て計算なのかと思う時もある。


本当の意味で頭が良い奴。


そんな奴を、俺は初めて見た気がする。



俺はとりあえず、荷物を机に置いた。


そして、苛立ちを表し始めてる潤の後に続いて、教室を出た。
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