春、恋。夢桜。
澄月町への引っ越しの理由は、父親の転勤と俺の大学受験。


父親は、そこまで大きな会社に勤めているわけじゃないけど……

それでも一応、出世街道を歩んでいるらしかった。


今回の転勤もその一部で、前にいたところよりも、良い役職につかせてもらえるとか。


そして、この話に乗るみたいに訪れたのが、俺の大学受験だ。


転入先の私立高校の方が、今まで通ってた公立高校よりもレベルが高い。

しかも、前に住んでた山ばかりの田舎町よりも
澄月町の方が予備校にも通いやすい。



そんな条件が重なって、一家全員で引っ越しをした。


まぁ、実際にはもう一つ理由があるんだろうけど……。


でも、それを俺に言ってこない両親のことを考えると
俺はまだまだ子供なんだな、と実感させられた。



そんな新しい環境の中で、全く自分に関係のない理由で転校させられる妹を可哀想だと思いつつも

俺は結局何もできずに普通に生活した。



そしてついに、新しい学校での生活も、明日から始まることになった。
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