春、恋。夢桜。
「それは、もしかしたら3日後やもしれぬ。1時間後やもしれぬ。
じゃが、10年後や100年後じゃという可能性もあるらしいんじゃ」
少し苦い顔をしながらそう言う麗華を、俺は黙って見た。
さっきまでの浮かれた気分が、足元から順番にがらがらと崩れる。
いつになるかわからないんじゃあ、俺と麗華はもう一生会えないかもしれないってことだよな……
そんな絶望的な光景が、頭の中を支配する。
「それって、あんまりじゃねぇか?人を期待させるようなこと言っといてさ、結局はこれからも一緒にいるなんて無理なんじゃねぇかよ!」
「何を言うておるのじゃ!?無理なんかじゃなかろう?響が生きている間に会えるようになる可能性じゃってたくさんあるではないか!
初めから無理だと言って喚くことなら、生まれたばかりの赤ん坊でもできるぞ!響はそんなにも幼い人間ではなかろう?
もっとたくさんいろんなことを学んできたんじゃろうが!」
「でも、どうしようもないことだってあるだろうが!俺の願いは、お前とずっと一緒にいることなんだよ!
だけどそれは、俺がどう足掻いたって何も結果には関係ないんだろうが!俺にはどうしようもないんだろうが!
それなのに、どうやって希望なんか持つんだよ!」