春、恋。夢桜。
「そうじゃな……。
まずは響。お主は梨恋と潤にしっかりと謝るのじゃぞ!今まで迷惑を掛けたんじゃからのう」


別れ際に言いたいことが説教なのか、こいつの場合……。


麗華らしいと言えば麗華らしい行動だと思う。


そうは言っても、複雑な気分を止められない事実だ。


俺は、相槌を打ちながら続きを促した。


「それに、勉強をしっかりやるのじゃ!さっきできておらぬと言っておったからのう。それから……」


完全に、ただの母親じゃねぇか……

さすがにここまでになると耐え難い。


俺は思わず顔を歪めた。


「おい、麗華。お前いい加減に……」

「あとな!今まではよくわからんかったが、今ははっきりとわかる」


麗華はにやりと笑って俺に近づいてきた。

そして、ぐっと俺の服の胸元あたりを掴むと、思いっきり自分の方向へと俺を引き寄せる。


「お、おい……!」
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