春、恋。夢桜。
「ま、またかよ!?」


振り返って笑顔で言うと、俺はそのまま学食に向かって歩き出した。



麗華に会った春から、もう2年経った。


高校を卒業した俺は、家から通学できる大学に入学した。

偏差値も高めで、他の地域からの進学者も多い。


あれからちゃんと勉強を始めた俺は、志望校をこの大学の法学部に設定した。



それまでは、やりたいことなんて特になかったけど

月美丘の桜の出来事があってから、この進路に決めた。


桜を切ること、ホテルなどの観光開発を進めることなんかをしっかりと町民に説明しないままに行った町長。


その行為に傷ついて、その行為ついて疑問を抱く人が
住民の中にはたくさんいる。



もちろん、俺だってそんな中の1人だ。


だから、こういった思いをしてる人は、他にもたくさんいるんじゃないか、って思った。


然るべき説明をしてもらえなくて

説明をしてもらっていたとしてもその内容がしっかりと理解できなくて……


そのせいで、傷ついて、悩んで、苦しんでる人がいるなら

自分が手助けをしたい……


そう思って、法律を学ぶことにした。


できるなら、司法試験も受けたいしな……



そのためには、成績も良くなくちゃいけないし

大学を出てからロースクールにも通わなきゃいけないと思う。



でも、そのくらいの努力ならしても良いと思った。


自分にできることを、精一杯やること。



その大切さに、改めて気づいたから……――――
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