春、恋。夢桜。
「だから、そーゆー態度のことを愛想がないって言ってんだよ!
何かもう少しコミュニケーションをとろうとかしないわけ?『何部?』とかさ」
うるさい奴。
「何部?」
これで良いのかよ。
「陸上部だよ。走ってんの」
………………聞くんじゃなかった。
「響は?」
俺は…………
「俺は、部活には入ってない。入らない」
入りたい、けどな。
「へぇ。まぁ、すぐに引退だしな。それもアリか」
そう言って頷く戸崎の真意はわからない。
でも、丁度良いタイミングで入ってきた担任のおかげで、俺はやっと静かな時間を取り戻せた。
今日の時間割は、始業式だけ。
午後から始まった初めての学校生活は、呆気なく終わった。