春、恋。夢桜。
「あぁ。ユーキ君とめでたく結ばれておったぞ!最後はこの桜の前で気持ちを伝えたんじゃ。
そしたらユーキ君もその子を前から好いておったらしくてのう。抱き合って、熱ーい接吻をしておった」
カズハは、にやりと笑いながらそう言った。
少し可笑しくなって、思いっきりカズハの額を指で弾いてみる。
「キョー!何するんじゃっ!」
少し目に涙をためながら額を押さえるカズハが面白くて、俺は笑った。
「カズハ、お前、結構エロいんだな。さっきの顔とか話し方……おっさんみたいで……」
「えろい?なんじゃ?それは」
「うーん……、助兵衛ってことだよ」
「すけ……っ!おい、キョー!どういう意味じゃ!」
顔を真っ赤にしながら、俺を叩いてくる。
やっぱり、カズハは面白くて、可愛いかもしれない。
たまにはカズハをいじめるのも楽しいかもな。
そう思った矢先、俺を叩く拍子にバランスを崩して
カズハが俺の方に倒れこんできた。
「うぉわっ……」