春、恋。夢桜。
 
あまり力を入れていなかった俺の体は、あっけなく地面に押し倒された。


何にも覆われてない首筋。

そこに、芝生の先が刺さる。


「だ、大丈夫か!?キョー!」


俺の胸に顔を埋める形になったカズハが、急に体を起こして聞いてきた。


俺の首の両側に手をついて、じっとこっちを見る。


「あぁ。大丈夫だ。……けど、できれば早く退いてくれないか?」


この状態は、いくら何でもまずいだろ……


そう思った俺は、視線をカズハからそらした。


でも、そんな俺を見て、カズハは離れるどころか、にやりと笑った。


「おいっ!」


何を思ったのか、俺の胸にすとんと座っていやがる。


そしてそのまま、俺の頬を両手で包んだ。
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