春、恋。夢桜。
「そうだ!何かさ、カズハちゃんと梨恋が一緒に遊んだっていう証拠を作ろうよ!」
「証拠?リコは幼いが、難しい言葉を知っておるな」
「たまたまだよな、梨恋。よく見てる探偵アニメで使う言葉だから知ってるだけだろ?」
カズハの言葉に嬉しそうに微笑む梨恋を少しからかう。
思いっきり膨れっ面になった梨恋を見て、申し訳ないけどおかしくなった。
「あにめ?それはなんじゃ?」
「うーん……テレビで放送する動画、かな?たくさんの絵を順番に映し出して、1つの動画にしてあるんだ」
「では、てれびとはなんじゃ?」
最近では、こうしていろんなことを教えることも少なくなった。
輝かせた目を俺に向けてくるカズハの姿が、少し懐かしい。
でも……
「カズハ、テレビは前に教えただろうが。わざとわからないふりするなよ!」
「バレたか!面白くないのう」
「面白くないのう」
カズハの真似をして、不思議な言葉遣いをした梨恋に
カズハがにやりと笑いかけた。
「梨恋!カズハの真似はしなくて良いって言っただろ!」
怒鳴る俺の声とは対照的に、明るい2人の笑い声が空に溶けた。