春、恋。夢桜。
 

「何だよ、その声。いきなり何やってんだ?」

「あのね、梨恋、カズハちゃんに手紙を書こうと思って」

「手紙……?」

「うん!」


そう言って、梨恋は体を起こした。

その顔には、カズハと別れて以来は見られなかった、明るい笑顔が浮かぶ。


「今日ね、教室で泣いてる子がいたの。

あいちゃんって言うんだけどね、隣のお家に住んでたお姉ちゃんが遠くに引っ越しちゃうらしくて……」


「あぁ」

「梨恋、少し恐かったけど、頑張ってあいちゃんに話し掛けたんだ。みんながいる時は恐くて無理だったんだけどね……」


梨恋は、軽く苦笑いをしてから続けた。


「だってね、あいちゃんと隣のお家のお姉ちゃんが、カズハちゃんと梨恋のことみたいに思えたの。そうしたら、梨恋まで悲しくなっちゃって」

「なるほどな……」

「梨恋も、カズハちゃんっていうトモダチと会えなくなったんだ、って話したら、あいちゃんが『一緒だね』って笑ってくれたの。
それからね、あいちゃんと一緒に考えたんだよ」

「何を?」
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