春、恋。夢桜。
「離れても、ずっと仲良しでいる方法!」
そこまで言うと、梨恋は俺に、満遍の笑みを向けた。
その手には、桜の模様の入った、薄いピンクの便箋がある。
「手紙を書くのが、その方法?」
「うん!そうすれば、梨恋の気持ちは全部カズハちゃんに伝わるでしょ?だから、響兄は郵便屋さんね!」
本当に楽しそうに話す梨恋に安心して……
気付いたら、俺も小さく笑っていた。
「でも梨恋。
カズハは、あいちゃんと仲の良いお姉ちゃんと違って遠くに行くわけじゃないから、梨恋は手紙なんか書かなくても、直接月美丘へ行けるんだぞ?
俺と一緒に行けばカズハと話だってできるし……」
「だぁぁぁめっ!!」
いきなり大きな声を出して、梨恋が俺を止めた。
少し膨らませた頬が、梨恋の幼さと同時に、真剣さを表してるみたいで
俺は思わず口を閉じた。