春、恋。夢桜。
「梨恋は、見えないけど、いつでもカズハちゃんの傍に行ける。でもね、あいちゃんは見えても、傍に行けないんだよ?
傍に行かないから見えないんだよ?」
梨恋は、表情を歪めた。
「それなのに、梨恋だけカズハちゃんの近くに行くなんてできないよ……。だってね、梨恋はあいちゃんと約束したんだもん。
『大切なトモダチに会えなくても、一緒に頑張ろうね』って。だから、『私たち、友達になろうね』って……」
「友達……?」
「うん!梨恋……こっちの学校で初めて友達ができたの!
カズハちゃんが梨恋の友達になってくれたから、あいちゃんと話せたの!」
梨恋は、明るくて……
いや、明るすぎて困るくらいの眩しい笑顔を見せてくれた。
カズハとの別れは、確かに梨恋にとって辛い出来事だったんだと思う。
でもそのおかげで、梨恋には、同じような出来事を共有する新しい友達ができた。
持ち前の梨恋の優しさが……
カズハと触れ合うことで生まれた小さな支えが……
梨恋とあいちゃんを突き動かしたんだ。