春、恋。夢桜。
「強いな、梨恋。それに、おめでとう。よくやった」
俺はそう言って、梨恋に視線を合わせると、梨恋の頭を撫でた。
「俺は毎日カズハの所に行ってるから。手紙が書けたらいつでも持って来いよ。毎日でも届けてやる」
「うんっ!」
「じゃあ、おやすみ」
軽く足に力を入れて、ゆっくりと立ち上がる。
そして、自分の部屋に戻るために、梨恋の部屋を出た。
ドアを閉める瞬間に、小さな梨恋の声が聞こえた気がした。
「ありがとう」
梨恋のその一言が
静かで暗い廊下にいる俺の、笑顔を誘った。