春、恋。夢桜。
自信満々にそう答える戸崎を見たら、俺には返す言葉がない。
そんな俺を笑い飛ばした戸崎は、にやりとしながらこっちを向いた。
「仕方がないから、今度イロイロ貸してやるよ」
「絶対いらねぇ。
……ほら、無駄口叩いてないでさっさと案内しやがれ!」
にやにや顔を消さないまま戸崎が「はいはい」と呟くと、周りがいきなり静かになった。
初めの質問は忘れたみたいだな……――――
別に、本屋へ行く理由を話しても問題はない。
でも、何となく話したくない。
からかわれることは目に見えているし
カズハが関わってるから説明をするのも何かと面倒だ。
学校から15分ほど自転車を走らせた頃、俺達はようやくショッピングモールに着いた。