春、恋。夢桜。
『 麗華 』
俺は、カタカナで書いたカズハの名前の下に、こう書いた。
「これが、わしの漢字か?」
「ああ。ちょっと難しかったか?」
「……わからぬ。じゃが、綺麗じゃのう」
綺麗……。
確かに、そうかもしれない。
「漢字には、それぞれ意味があるんだ。
俺の『響』には『響く』。梨恋の『梨』には、果物の『なし』、『恋』には『心が引かれる』って意味がある」
「ほう。なかなか面白いのう。
で? わしの漢字にはどういう意味があるのじゃ?」
「あぁー……。秘密」
俺は思わず、苦笑いをした。
使った電子辞書は、漢字を調べると、その意味までちゃんと表示をしてくるタイプだ。
もちろん、『麗』と『華』の意味だって、しっかりと教えてくれている。
だから、この2文字を選べたわけだし。