先生、キライ!
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 この事件があったからといって、近藤先生が私たちにうちとけたとか、私たちが近藤先生の見方を変えて授業を静かに聞くようになったとか、そんなことは起こらなかった。

 起こらなかったけれど、何かが少しずつ変化し始めていた。その小さな変化に敏感だったのは私たち生徒の方だった。
 
 近藤先生の方は、数学を教えるということに悪戦苦闘しているようで他は見えていないようだった。
 
 近藤先生ともっと関わってみたいと思ったのは、私だけではなかった。どっちかというと、男の子たちの方が近藤先生に興味を持ち始めたみたいだった。

 生徒の機嫌をとるようなことは言わない。生徒と同じレベルで話をしてる。生徒よりもムキになる、熱くなって、暴走する。でも、それを自慢にはしない。

 好きなサッカーは、生徒よりも一生懸命練習してる。

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