先生、キライ!
12
私はちょっとずつ、学校が楽しくなっていた。
きっかけは本当にチョットしたことなんだ……って思うようになった。
近藤先生と私は、ちょっと似ているかもしれないと思い始めてから、心が少しずつ軽くなっていくような気がしていた。
大人になっても、大人になったからといって、大人だから、自分に戸惑うこともあるっていうのを近藤先生を見ていて、知るようになった。大人になった自分をうまく受け入れられない。でも、子どもじみた懐古主義でもない。
前を見ている。ただ前を見て頑張ってるのが近藤先生ことヤスオちゃんだ。
「石野は進路どうすんだ?」
別に俺には関係ないけどなっていいながら、ヤスオちゃんは私に話しかけてきた。
二学期も終わり頃になると、誰も近藤先生とは言わなくなった。みんなヤスオちゃんと言っていた。近藤先生は、「先生」と呼ばれようが、「ヤスオちゃん」と呼ばれようが、俺は俺だっていうポーズを崩さなかったから、みんなは「ヤスオちゃん」と声をかけるようになった。でも、ヤスオちゃんを馬鹿になんかしていない。尊敬まではいかないけれど、それなりに、近藤先生の存在を認めていた。
「う~ん、どうしようかなあ……就職難しそうだし、短大か専門学校かな」
「将来、何で食ってくんだ?」
「何って?」
「社会人になるっていうことは、生活して食っていくことだろう?っていうことは金稼がないと、生きてけないじゃないか、だから、何をして金を稼ぐかっていうことさ」
「まだ決めてない。だって、来年考えればいいでしょう?」
「ああ、まあな……けど勉強はしておけよ」
「なんで?」
「社会に出て、いい仕事するためじゃないのか?どっか難しく考えてんのか?」
なんだか、私がずっとイライラ思ってきて、ため込んだ憤りの風船を、ヤスオちゃんは簡単にパーンと一個ずつ割っていく。
きっかけは本当にチョットしたことなんだ……って思うようになった。
近藤先生と私は、ちょっと似ているかもしれないと思い始めてから、心が少しずつ軽くなっていくような気がしていた。
大人になっても、大人になったからといって、大人だから、自分に戸惑うこともあるっていうのを近藤先生を見ていて、知るようになった。大人になった自分をうまく受け入れられない。でも、子どもじみた懐古主義でもない。
前を見ている。ただ前を見て頑張ってるのが近藤先生ことヤスオちゃんだ。
「石野は進路どうすんだ?」
別に俺には関係ないけどなっていいながら、ヤスオちゃんは私に話しかけてきた。
二学期も終わり頃になると、誰も近藤先生とは言わなくなった。みんなヤスオちゃんと言っていた。近藤先生は、「先生」と呼ばれようが、「ヤスオちゃん」と呼ばれようが、俺は俺だっていうポーズを崩さなかったから、みんなは「ヤスオちゃん」と声をかけるようになった。でも、ヤスオちゃんを馬鹿になんかしていない。尊敬まではいかないけれど、それなりに、近藤先生の存在を認めていた。
「う~ん、どうしようかなあ……就職難しそうだし、短大か専門学校かな」
「将来、何で食ってくんだ?」
「何って?」
「社会人になるっていうことは、生活して食っていくことだろう?っていうことは金稼がないと、生きてけないじゃないか、だから、何をして金を稼ぐかっていうことさ」
「まだ決めてない。だって、来年考えればいいでしょう?」
「ああ、まあな……けど勉強はしておけよ」
「なんで?」
「社会に出て、いい仕事するためじゃないのか?どっか難しく考えてんのか?」
なんだか、私がずっとイライラ思ってきて、ため込んだ憤りの風船を、ヤスオちゃんは簡単にパーンと一個ずつ割っていく。