先生、キライ!
17
そのあとの言葉を、ヤスオちゃんは一生懸命探していた。黙っているのは、申し訳ないって、必死の様子が可愛いなあって思った。私は言葉に出してお腹から出したらすっきりしていたから、余裕でヤスオちゃんを見れた。
だって、ヤスオちゃんから「俺も好きだ!恋人とは別れる!待っていてくれ!」なんて臭いセリフを期待していたんじゃないんだもん。ヤスオちゃんならきちんと受けとめてくれるって信じた。
だから言えたんだ……
そう……私ははじめて大人を信じてみることができた。
裏切られることも怖くなかった。それに、ヤスオちゃんはそんなこと絶対にしないって、確信があった。
ヤスオちゃんは、戸惑いながら、悪戯っぽく私を見つめた。ちょっと、すがるようだったから、情けねえ……!!って思った。
「先生、あのね……」
「あん?」
「ずっと、そのまんまのヤスオちゃんでいてね」
「ああ……」
「だって、私、ヤスオちゃんはスキだけど、先生ってまだ好きになれないか
ら……」
「俺はどっから見ても、スゲエ良い先生だと思うよ」
「じゃあ、言ってあげる」
私は息を吸い込んで、大きな声で言った。
「先生、 キライ!」
私は心の中のグチャグチャを全部、ヤスオちゃんにプレゼントしたような気持ちになって、不思議な満足感で満たされていた。
涙で乾いた、カパカパの頬が笑うとバリバリって音がした。
ヤスオちゃんにペコリと頭を下げた。
それから、ヤスオちゃんをおいて教室を出た。
ずんずん歩くうちに、景色がぼんやり滲んでいた。
そうだ、ピアスでもあけてみようかと、ふいっと思った。
ヤスオちゃんの困った顔がみたくなったから。
おしまい
だって、ヤスオちゃんから「俺も好きだ!恋人とは別れる!待っていてくれ!」なんて臭いセリフを期待していたんじゃないんだもん。ヤスオちゃんならきちんと受けとめてくれるって信じた。
だから言えたんだ……
そう……私ははじめて大人を信じてみることができた。
裏切られることも怖くなかった。それに、ヤスオちゃんはそんなこと絶対にしないって、確信があった。
ヤスオちゃんは、戸惑いながら、悪戯っぽく私を見つめた。ちょっと、すがるようだったから、情けねえ……!!って思った。
「先生、あのね……」
「あん?」
「ずっと、そのまんまのヤスオちゃんでいてね」
「ああ……」
「だって、私、ヤスオちゃんはスキだけど、先生ってまだ好きになれないか
ら……」
「俺はどっから見ても、スゲエ良い先生だと思うよ」
「じゃあ、言ってあげる」
私は息を吸い込んで、大きな声で言った。
「先生、 キライ!」
私は心の中のグチャグチャを全部、ヤスオちゃんにプレゼントしたような気持ちになって、不思議な満足感で満たされていた。
涙で乾いた、カパカパの頬が笑うとバリバリって音がした。
ヤスオちゃんにペコリと頭を下げた。
それから、ヤスオちゃんをおいて教室を出た。
ずんずん歩くうちに、景色がぼんやり滲んでいた。
そうだ、ピアスでもあけてみようかと、ふいっと思った。
ヤスオちゃんの困った顔がみたくなったから。
おしまい