俺のシンデレラになってくれ!
◇STEP6
電池でも外しちゃえば、意外と何とかなるんじゃない?
1
「あなた、名前は?」
「あたしは……あれ?思い出せないや。まぁ、あたしは”あたし”よ!
そっちは?」
「私は……、お母さまやお姉さまからは、”シンデレラ”と呼ばれています。いつも灰にまみれているからって」
「シンデレラ?
シンデレラって、まさかアレ?舞踏会で王子様で、12時になったらさようならの?」
「よくわかりませんが、確かに今、お城では王子様の婚約者を探すためのパーディーをしていますよ」
「マジで?どーゆーこと!?
何? あたしトリップした? シンデレラの中にトリップした?」
「あの……いきなり騒ぎ出して、どうなさいました?体調がよろしくないのですか?
髪も黒いですし、肌が少し黄色いような気がするのですが……」
「いや、ウチの家族はみんなこうだから!
てかそうだよね。そもそも何であたしが普通に外人と話せちゃってるわけ? シンデレラって何語?英語?フランス?ドイツ?どこ!?」
「あの、本当に大丈夫ですか? ドレスもとても変わってますし。少し、足を露出しすぎなのでは?」
「いや、出してない方だし!
それに、ウチの高校は制服可愛くないけど、あんたの端切れパズルよりマシだから!」
「そうですか? 慣れれば動きやすいし、悪くないですよ」
「悪いに決まってるでしょ!バカじゃないの!?
あー、イライラする! 自分の名前思い出せないあたしにもイライラする!」