俺のシンデレラになってくれ!
2
「これ、篤がつくったの?」
「え? うん、まぁ……」
人差し指でこめかみの辺りをかきながら、篤がぼそっと答えた。
そんな篤から、もう一度、手元の紙の束に視線を移す。
横向き。 縦書き。
作文みたいなレイアウトになった紙の束は、人生で初めて目にする舞台の台本だった。
まだきちんと固まったものじゃないからなのか、空白も多い。
飛び交う台詞の間には、動作の説明がシンプルに書かれている。
「AとかBとかあるけど、登場人物の名前はまだ決まってないってこと?」
「そう。これ、とりあえずのとりあえずくらいのものだから。とりあえず」
「とりあえずのとりあえずで、とりあえずね……」
何だろう?
何となく、篤の態度が普段とは違う感じがする。
「どうしたの? 落ち着かない?」