俺のシンデレラになってくれ!



「これ、篤がつくったの?」


「え? うん、まぁ……」



人差し指でこめかみの辺りをかきながら、篤がぼそっと答えた。


そんな篤から、もう一度、手元の紙の束に視線を移す。


横向き。 縦書き。


作文みたいなレイアウトになった紙の束は、人生で初めて目にする舞台の台本だった。


まだきちんと固まったものじゃないからなのか、空白も多い。


飛び交う台詞の間には、動作の説明がシンプルに書かれている。



「AとかBとかあるけど、登場人物の名前はまだ決まってないってこと?」


「そう。これ、とりあえずのとりあえずくらいのものだから。とりあえず」


「とりあえずのとりあえずで、とりあえずね……」



何だろう?


何となく、篤の態度が普段とは違う感じがする。



「どうしたの? 落ち着かない?」
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