俺のシンデレラになってくれ!
小さくて上手く聞き取れなかった言葉を思わず聞き返したけど、雅也は気にもしてないみたいににっこりとした笑顔を作った。
「2人は今日はこれから暇なの?」
「うん。今日は美砂、バイトも休みだし。だから、お茶でもしようかって」
さっきまでのことが気になって上手く切り替えられないあたしに代わって、晴香が笑顔で答えた。
カラオケの埋め合わせにはならないかもしれないけど……
という前置き付きで晴香を誘ったのはあたしだ。
そんなあたしに笑顔でうなずいてくれた晴香は、本当にさすがだと思う。
「そうなんだ。じゃあ、もしよかったらサークル棟を覗いてみてよ。篤、きっと喜ぶと思うし」
「え……」
思いっきり眉間を固くしたあたしを見て、雅也が大きく笑った。
「昨日はあの後、本当に気の毒なくらい腐ってたからさ。それを世話した俺へのお詫びってことで。
ね?」
本当、この人の笑顔って“爽やか”って言葉が似合う気がする……。
しかも有無を言わせないような説得力まで含んじゃってるから、その分やっかいでもある。
思わず溜息を吐いたあたしの傍で、晴香と雅也が楽しそうに笑う音が聞こえた。