俺のシンデレラになってくれ!
「え?」


「俺も見学だからさー」



もう一度にっこり微笑むと、その人はすっと足を踏み出した。


そのまま開いていたドアに近づいて、部屋の中を覗き込む。



「調子はどうだー?」


「あ、信吾さん! どうしたんですか?急に」


「いやー、ちょっと息抜きがしたくなっちゃって。仕事がちょうど落ち着いたから、抜け出してきたんだよ」



“シンゴさん”


そう呼ばれた彼は、そのまま近くにあったパイプいすを引き寄せて座った。


馴染のある光景なのか、4人とも特に気にする様子もないらしい。



「てゆーか信吾さん!その2人は? もしかして、信吾さんの彼女!?」



明るい茶色に染まった髪をぴんぴんさせながら、くりっとした目の男の子が言った。


背はそんなに高そうには見えないけど、そんなところも人懐っこそうな雰囲気には似合ってる。



「違うって。ドアの外で見かけたから連れてきちゃっただけ。知り合いがいるからって言ってたけど……」


「あ!あたし達、篤の友達なんです!」


「友達!?いつから?」



思わず声をあげたあたしを、晴香が思いっきり睨みつけてきた。


でも、晴香はまだしも、篤と友達になった記憶があたしにはない。


……演劇バカの友達になんて、なりたくもないし。



「もしかして、入会する気になってくれた!?」
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