俺のシンデレラになってくれ!
こんな生活を、単純に面倒臭いと思う。
ときどき、面倒臭すぎて嫌になることもある。
大学ですれ違う人とか、電車で楽しそうに話す人とかを見ると、すごい、と思うこともある。
あんなにも自由に生活できて、すごいって。
でも結局、そんなのはただの客観的な感想。
だから、何かをどうしようとか、どうしたらいいとか、特別な意見があるわけじゃないんだよね。
人の流れに乗って、ぎゅうぎゅうした電車を降りる。
改札を出て、左右に広がる芝生に目を移した。
駅の改札口を出た時の右手側がおおまかに文系、左手側ががっつり理系のキャンパスになってるウチの大学。
いくつかの建物が連なってできてる講義棟に行くには、青々とした芝生を横切るのが一番早い。
迷うことなく右手側の芝生を進んで、あたしは教室に向かった。
2
「美砂ー? 今日のお昼は?」
「今日は朝バイトだったから持ってないの。学食行く?」
「そっか。じゃあそうしよ」