俺のシンデレラになってくれ!
「決まり、だな」
「みたいね。おめでとう」
「だけど、これ以上一緒にいたってあたしが“シンデレラ”を引き受ける保証はゼロだからね。むしろ、ならない可能性の方が大きいし。絶対だし!」
篤の空気に乗せられるのが嫌で、無意味だと思いながらもそんな言葉を放つ。
「全力を尽くしてそうなら、俺だってあきらめるよ。何もしないで引き下がるよりずっといいし。希望があって憧れてるんだから、叶える工夫くらいしてみないと、満足できないでしょ。
まぁ、万が一ダメだったとしても、美砂と一緒にいるのは楽しそうだからなー。それはそれでそこそこ満足できそうだし」
篤は、あたしのことを“妙にまっすぐ”なんて言ったけど、その言葉をそっくりそのままお返ししたい。
妙にまっすぐすぎる篤の発言は、あたしの行動を狂わせてばっかりだ。
「そこそこって失礼!」
「そりゃ、そこが俺の希望の頂点じゃないから仕方がないでしょ」
当たり前。
そんな空気でさらりとそう言う篤は、やっぱりあたしとは違う空気をまとってる。
あたしが反論に詰まったタイミングで、晴香が重たい息を吐き出した。
「……何であたしはここにいるんだろ。今更だけど、場違いな気がしてきた」