俺のシンデレラになってくれ!
◇STEP3
与えられたモノにときめくような、女だと?
1
「はぁぁぁ……」
「篠原ー、ここがどこか知ってるかー?」
誰もいないカウンターで、あたしは大きく息を吐き出した。
早朝のバイトは、忙しい時間とそうじゃない時間の差が激しい。
開店と電車のスケジュールに合わせた忙しさの隙間くらい、少し息も吐きたくなる。
「カウンターです。あたしのバイト先です。ファーストフード店です」
「そうか。わかってるなら溜息しまえー」
「だったら店長もけだるさしまって下さい」
「これはデフォルトだろー。俺の魅力のうちじゃねぇか。溜息と違って接客に支障ないしな」
完全に支障アリだと思うのはあたしだけなんだろうか。
自分がお客様だったら、朝からこんなけだるい顔なんて見たくない。
……元気すぎる店員さんも嫌だけど。
やっぱり、この店長は別の店舗に行ったらやっていけないと思う。
「けだるさが店長の魅力に入るかどうかについてはノーコメントでお願いします」
そう言いながら、あたしはしゃきっと背筋を伸ばした。
店長にはいろいろ言いたいこともあるけど、ここで溜息を落とし続けるのは確かによくない。
急にしっかりと姿勢を整えたあたしを見て軽く笑うと、店長はまた口を開いた。