俺のシンデレラになってくれ!
2
「はい。これ見て」
「何これ? 面倒だから見たくない」
大学の近くにあるカフェの中。
正面に座る篤から差し出された紙をそのまま突き返した。
朝、いきなり店に来た時に授業の後で会う約束をしてからずっと、何だかんだで拘束されてる気がする。
「あのね、俺は今、美砂を雇ってるの。雇い主なの。だから反論は認めない。大人しく見て」
そのままずいっと押し返された紙に視線を落として、あたしは思いっきり肩を落とす。
返された紙は、何かのスケジュールらしい。
いくつかの日付と矢印が目立っている。
「篤が命令してる! レアだわー」
「これ見てるの、かなり面白いよね」
「本当だよ。このやりとりをそのまま劇にしてもウケるんじゃないかって思うくらい」
「ちょっと!勝手に変なこと言うのやめてよ。大体、何でわざわざ隣の席?何でわざわざ他人のフリ?」
雅也と晴香が座ってるのは、あたし達が座るテーブルの隣のテーブルだった。
4人掛けの席にしてあったのに、わざわざテーブルを離した2人の行動は理解できない。
本当、何を考えてるんだか……。