俺のシンデレラになってくれ!
にっこりと微笑んだ晴香に思いっきり苦笑いを返した。
楽しみにされたって、少し髪型を変えたくらいじゃどうにもならないと思う。
髪型も服装も、見た目にはそんなに興味がないから、別にどうしてもらってもいい。
ただ、篤に言われたままにいろいろと進んでいくのは、何となく面白くない。
「じゃあ、雅也くんと……えーっと、晴香ちゃんはまた今度。篤は大人しくしててよ。ここにいることは、咲にも伝えておくから」
くるっとドアに向かって歩き出した紬さんを慌てて追いかける。
何か、今日はこんなことばっかりな気がする……。
こっそり溜息を落としてから、あたしはまた、きらきらした店内に入った。
4
「先に髪を洗いたいから、奥のシャンプー台にどうぞ」
「あ、はい。お願いします」
受付の横をすり抜けた奥。
明るい店内の中心には、大きな鏡がたくさん並んでいた。
鏡を挟むみたいな形で置かれた黒いイスは、どこもお客さんでいっぱいだ。
案内してもらったシャンプー台のある部屋は暗くて、切り離されたような空間に、少し不思議な感覚になる。
「美砂ちゃんだよね? 篤、何か迷惑かけてるんじゃない?」